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「ジムに行くまでのサービス」を作ろうと思ったけど半分諦めてる話

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はじめに

新卒入社して丸4年勤めた会社をもうすぐ退職し、プロダクトエンジニアとして新しい環境で働く予定です。今年は2週間の夏休み(有休消化)があるため、夏の自由研究として新しいサービスを作ることにしました。

この記事では、関心のある「ジム」をテーマにして、サービス企画のプロセスで調べた内容を共有します。

前提条件

  • 作って終わりではなく、継続的な改善とスケールを目指すため、熱量を持てるテーマにする
  • 自分が日常で感じる課題を起点にサービスを考える
  • サービス企画、設計、開発、リリースまでの全行程を一人で行い、ビジネス視点と開発者視点の両方を養う練習をする

現状分析・課題発見

  • 最近の傾向

    • 24時間ジムやコンビニジム(チョコザップ)の普及により、一人で運動をする人が増加
    • その一方で、「ジムに入会したものの継続できない」という課題が顕在化
  • ユーザー理解も兼ねて、ジムに通う目的を整理しておこう

    願望 カテゴリ 手段 誰の意見か
    彼女を作るために体を引き締めたい ボディメイク 筋トレ 5年前の私
    結婚式に向けて体重を落としたい ダイエット 食事管理、有酸素運動 現在の妻
    運動習慣を身につけて健康寿命を伸ばしたい 健康維持 ストレッチ、有酸素運動
    イライラや不安を改善したい ストレス解消 筋トレ、有酸素運動 激務な先輩
  • パーソナルトレーナーの友人と話して分かったこと

    • 「入会したけど何をしたらいいのか分からない」「行きたいけど続かない」「ジムに行くまでが一番のハードル」などと感じる方が多く、モチベーションや継続力に課題があることが分かりました
    • パーソナルトレーナーや既存アプリで解決できる課題はあるものの、心理的ハードルや外部要因を解消するサービスは少ないと感じました
    課題 内容 解決アプローチ
    知識不足 トレーニングのやり方が分からない ・パーソナルトレーニング
    ・YouTube
    ・コンテンツ配信アプリ
    認識のズレ 数ヶ月続けたが、身体に変化がなく挫折してしまう ・ジム入会時に認識の擦り合わせ
    ・ただ最近は、オンライン入会が増えており、擦り合わせのタイミングがない?
    心理的ハードル 「めんどくさい」「天気が悪い」「仕事で疲れた」などの理由で行かなくなる 該当なし
    外部要因 育児・仕事が忙しく、ジムより優先すべきことが多い 該当なし
    ゴール未設定 明確な数値目標がないため、達成感を得られず継続しづらい 目標管理アプリ
  • ジムに入会するときは高いモチベーションだと思いますが、1年間継続できる人は極めて少ないようです

    期間 継続率
    3ヶ月 37%
    1年間 4%

解くべき課題

  • 身近な友人に聞いて分かった、ユーザーの声
    • やる気はある。でも、、、
    • キッカケがないと動けない
    • 続けたいけど行けない
    • 背中を押してほしい
  • 実際、「ジムに行くまで」が最大のハードルで、行ってしまえば自然に運動できる
  • よって、 「今日ジムに行くまでをサポートするサービス」 こそ、目標達成に近づく一番の近道では?と考えました

マトリクス分析

  • 一人でサービスを作るときは、特定領域の数人に深く刺さるサービスを目指す
  • ターゲットを明確にしておくことで、サービス認知の訴求を後押ししてくれるはず
属性 特徴 ターゲット有無 考察
ジムの形態 24時間ジム利用者(チョコザップ、エニタイムなど) 自分の意思でジムに行く必要があるため
パーソルトレーニングジム利用者 パーソナルトレーナーによって、指導・管理されているため関与不要?
自宅トレ × 「ジムに行く」ことがないので対象外
トレーニング歴 0~6ヶ月 ジムに行く習慣が身についていないため
6ヶ月~1年 自走できつつあるが、まだ気を抜けない時期。惰性で行かなくなるパターンも多いので、サポートが必要
1年以上 × 習慣が形成されているため対象外
年齢 10代 ~20代前半 × 部活や遊び、勉強が最優先。経済的余裕があまりない
20代中盤〜30代前半 見た目への関心がとても高く、お金をかけてでも変わりたい層が多いため
30代中盤~50代前半 運動習慣がなかった人は、身体に異変が出てくる年齢。ただ、仕事や育児が忙しく、ジムより優先すべきことが多い。この層が、課題を多く抱えていそう
50代中盤以降 習慣化できている人とできない人の差が大きい。前者はサービス不要で、後者に対してどれだけ効果を発揮できるのか検討が必要
性別 男性 性別によるターゲティングはなし
女性 性別によるターゲティングはなし
通う時間 朝(7:00~10:00) × 朝ジムに行けている人は強い意志を持っている。ほっといても、習慣化できる
夜(18:00~20:00) 仕事終わり直行タイプ。ジムに行く習慣があり、自走できていそう。ただ、残業時間の増加によって崩れる可能性はある
夜(20:00~24:00) 仕事や用事が終わるのが遅く、「今日はもういいかな」となりがちな時間帯。「ジムに行くか考える暇を与えない」設計が必要。サービスを最も必要とするユーザー
利用目的 ダイエット ダイエットする人は、夏や結婚式までに◯キロ痩せたいという明確な期限と願望を持つ人が多く、初動のモチベは高いが、結果が出ず、挫折する人が多い。サービスを必要とする層
ボディメイク ボディメイクは結果が出るまで、最低でも3ヶ月~半年は時間がかかるが、モチベーションを維持することが難しく途中でジムに行かなくなる人が多い。この層は目標設定の方が大事だとは思うが、サービスを必要とするユーザーも多そう
運動不足解消・健康維持 ジムに通う層としては、最も多い。ただ、緊急性が低く、実現したい願望が弱いので、サービスを利用する動機も弱くなる?
ストレス解消 ストレス解消のためにジムに行く層。頻度は2週間に1回くらい?解くべき課題を感じていない?
医療・リハビリ × 医師との連携が必要なため、対象外

ペルソナ設定

  • マトリクス分析した結果から、以下をペルソナにしたいと思う
属性 ターゲット
ジム形態 24時間ジム
トレーニング歴 0〜6ヶ月
年齢 20代中盤~50代前半
性別 男女問わず
通う時間帯 夜(20:00〜24:00)
利用目的 ダイエット、ボディメイク
ユーザーの声 自分を変えたいが継続が難しい。目標や期限はあるが、つい甘えてしまう

サービス概要・コンセプト

  • やりたいこと
    • ジムに行くまでをサポート
  • 誰に
    • 24時間ジムに通い始めて半年以内のユーザー
    • なおかつ、ジムに行く時間が夜20時〜0時
  • サービス名
    • ジム行こ
  • サービスを一言で言うと
    • 「ジムに行くのが面倒」 を解決するアプリ

ジムに行く動機をどう作るか (解決策の検討)

  • サービスの主な機能として以下を考えているが、これだけでは「ジムに行くまでの動機」が弱いと考えています

    機能概要 詳細
    通知リマインド 指定した時間に通知を送る
    ジムに行く宣言ダッシュボード 今日ジムに行く人の名前(実名・顔写真あり)をダッシュボードに表示。また、ジムに行けた人には賞賛を、行けなかった人には汚名を与える
    継続バッジ・ランキングで称賛 習慣化バッジや継続日数ランキングで賞賛の場を作る
    ジム仲間コミュニティの形成 継続期間ごとにコミュニティを作る。継続期間が3年以上の人をレジェンド扱いにするブランディングができればGood
  • 「どうすればジムに行くのか?」を考えるために、ポジティブ・ネガティブな視点からアイデアを出してみました

    • 案①②は、「ジムに行こうぜ」と優しく背中を押すパターン
    • 案③④は、「ユーザーの嫌がることを逆手」に、尻に火をつけるパターン
サービス案 内容 マネタイズ サービス開発有無 考察
1 1on1による目標設定 ・目標を言語化する1on1を実施
・ジムに行く動機を明確にすることで行動を促す
1on1を有料化 × 目標管理ツールを作り、自身で目標を言語化させるのも良いが、それよりも1on1を通してユーザーの課題を汲み取り、モチベーションをあげるほうが効果的だと思った
2 電話をかける ・ジムに行く曜日・時間をヒアリング
・ジムに行く15分前に電話をかけ、ジムに行くことを促す
かけ放題 or 1コールごとに有料化 × ・受入人数に限界がある
・AI音声エージェントで自動化できないか
 →対人間でないと効果を発揮しない?
3 ジムに行かなかったら罰金 ・ジムに行く覚悟の金額を入力
・ジムに行けなかったら覚悟の金額が自動課金される
・ジムの位置情報をポリゴン(GIS)で登録する
・位置情報をトラッキングして、ポリゴンの範囲に入れば行ったと判定する
ジムに行かなかったら自動課金が走る ・ペナルティとして課金が発生するので、サービスを使う人・継続する人が限られそう
・ただ、刺さる人には刺さるかも
4 SNS使用制限 ・ジムに行かなかったらSNSの使用制限(6〜10h)をかける
・制限を解除したければ課金とする
使用制限解除で課金 ・現代人にとって案③の自動課金よりSNS使用制限の方が精神的に辛そう
・案③はペナルティとして直接的な課金が発生して嫌悪感があるかもしれないが、案④は間接的にマネタイズするので少しは見栄えばが良い?
・React Native Expoでの開発は難しく、Swiftのキャッチアップが必須
  • 他にも検討した案があったので、メモとして残しておこう
    • 行けない理由・言い訳をアプリ等で入力させ、チャット形式で一つずつ解消していき、ジムに行くことを納得させる。ただ、ユーザーがジムに行かないと判断した時点で、アプリを開く動線をないので、タイミング的に難しいと思われる
    • ジムに行けたら、ご褒美としてポイントを付与。サブ機能としては良いかもしれないが、ポイントを何に使えるかということが重要でポイントだけのインセンティブでは機能しないと思われる。企業と連携を取ることでポイントの価値を担保できるかもしれないが、企業との連携ありきでサービス設計するのは危険だと思った

市場調査・売上予測

  • 日本の24時間ジムの会員数は約500万人と言われており、今回設定したペルソナ(ジムの継続が半年以内)はおよそ300万人くらいいると思われる

    トレーニング歴 割合(仮) 会員数(推定)
    半年未満 60% 300万人
    6ヶ月〜1年 35% 175万人
    1年以上 5% 25万人
  • 月額平均単価700円でサービスを提供できれば、Badシナリオであっても月間1050万円の売上になるみたいだが、机上の空論だと夢が広がりますね

    シナリオ 利用率 利用者数 月間売上推定
    Bad 0.5% 15,000人 1,050万円
    Good 3% 90,000人 6,300万円
    Great 10% 300,000人 21,000万円

まとめ

  • 市場調査や実際のユーザーの声からも分かるように、「ジムに行くまでのハードル」を感じている人は多く、「ジムに行くまでをサポートする」という切り口でサービス開発をするのはかなり面白そう
  • その一方で、「ジムに行く動機をどうやって作るのか」について、案1~4を元にユーザーヒアリングを行い、本当に需要があるのか検証する必要がある
     → ユーザーインタビューにご協力いただける方は、是非コメントで教えてください🙇
  • 一定の需要が見えれば、夏休みの2週間でベータ版を作っていきたいと考えています

おわりに

最後までご覧いただきありがとうございます。

今回は夏休みの自由研究として「ジムに行くのが面倒」を解決するサービスの企画を考えてみました。
これまでにもいくつかサービスをリリースしましたが、そのうちの1つは全く使われることなくクローズし、かなり時間を無駄にしました。だからこそ今回は、事前にニーズを検証し、その上で作るか判断しようと思っています。
仮に需要がなく作らなくてもよいと判断しても、それはそれでOK。次のプロダクト開発に活かしていきたいです。

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