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新卒入社したエンジニアに向けて

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入社したばかりの新卒エンジニアの皆さん、おめでとうございます。

大学や専門学校で学んだ知識を活かして、素晴らしいプロダクトを作り上げる夢を抱いているかもしれません。プログラミングの楽しさを知り、それを仕事にできることへの期待で胸が膨らんでいることでしょう。

でも、実際に入社してみると、理想と現実のギャップに戸惑うことになると思います。

最初は誰でも失望する

入社して最初の数ヶ月、あなたはきっと何らかの失望を感じるはずです。

「こんなはずじゃなかった」
「もっと面白いことができると思っていた」
「自分のスキルが活かせていない」

こういう気持ちになるのは、ほとんどの新卒エンジニアが通る道です。なぜなら、入社したばかりのあなたにはまだ大した仕事が任されないからです。

具体的にはこんな日々が待っているかもしれません。

  • 単体テストを書く作業
  • 小さなバグ修正
  • ドキュメントの整備
  • 既存コードの小さなリファクタリング
  • 先輩の作業の手伝い

この例はまだコードが書けている方なのでまだよい方です。

「プログラミングをするためにエンジニアになったのに、ドキュメントばかり読んでいる」「学生時代に作っていたものより簡単なコードしか書かせてもらえない」「こんなのお前らが書くのをサボってきた尻拭いじゃん...」と感じることもあるでしょう。

でも、この時期を乗り越えられるかどうかがあなたのエンジニアとしての将来を大きく左右します。

信頼がないから大きな仕事は任されない

なぜあなたに大きな仕事が任されないのでしょうか?

それは単純に、あなたにはまだ信頼がないからです。

考えてみてください。会社にとって重要なプロジェクトや機能開発を入社したばかりの人間に任せられるでしょうか?もし失敗したら会社やチームにとって大きな損失になります。だからこそ、最初は小さな仕事から始めるのです。

信頼がない人に大事な仕事を任せることはできません。これはエンジニアに限らずどの職種でもおそらく同じことだと思います。

成果の積み重ねが信頼に変わる

ではどうすれば信頼を獲得できるのでしょうか?

答えはシンプルです。成果を積み重ねるしかありません。

成果とは何でしょうか?それは与えられた仕事に対して、期待以上の結果を出すことです。具体的には、

  • 割り当てられたタスクを期限内に完了する
  • バグの少ないコードを書く
  • わかりやすいドキュメントを作成する
  • チームのコミュニケーションに積極的に参加する
  • 自分の作業状況を適切に報告する

これらは一見、地味な活動に思えるかもしれません。しかしこれらの小さな成果の積み重ねがあなたへの信頼を少しずつ構築していきます。

雑務と思えることにも価値がある

「テストを書くだけ」「ドキュメントを整備するだけ」と思うかもしれませんがこれらの作業にも価値があります。

例えば、テストを書く作業は

  • プロダクトの仕様を深く理解する機会になる
  • コードの品質を保証する重要な役割を担っている
  • エッジケースを考える力が身につく

ドキュメント整備は

  • 自分の理解を言語化するスキルが身につく
  • 他のエンジニアの助けになる
  • プロジェクト全体の見通しを良くする

このように、一見地味に見える作業も、実はエンジニアとして成長するための重要な機会です。特に最初は仕様を新卒メンバーにマンツーマンで教えるのは大変すぎるのでプロダクト全体を広く理解させるのに適しているこのような作業は新卒と先輩エンジニアの双方にとって有益です。

信頼が生まれる瞬間

小さな成果を積み重ねていくと、ある日突然、少し大きな仕事を任されるようになります。

「この機能の実装、任せてみようか」
「このバグ、原因を調査してみてくれないか」

これは、あなたへの信頼が少しずつ形になってきた証拠です。この機会を逃さず、ここでも100%の成果を出すことが大切です。

そして、その成果がさらに信頼を生み、より大きな仕事、より面白い仕事へとつながっていきます。これが、エンジニアとしてのキャリアを築いていく基本的なサイクルだと思います。

信頼獲得の誤解

ここでよくある誤解についても書いておきます。

信頼を獲得するために必要なのは、あくまで成果であって、上司や先輩に媚びへつらうことではありません。もちろん、良好な人間関係を築くことは大切ですが、それだけでは本当の信頼は得られません。

残念ながら中には人間関係だけで評価する上司もいるかもしれませんが、そのような環境では長期的な成長は望めないでしょう。真の実力を評価してくれる環境を見つけることも、キャリア形成の重要な要素です。

どういった上司に当たるか、その上司との相性というのは必ずあります。上司ガチャというのはどの会社でも存在することです。

それはそれでよく、それを踏まえた上で、どう立ち回るべきかを考え、自分のキャリアを形成していくことが重要です。

成果を挙げるための方法

「成果を挙げろ」と言われても、具体的にどうすればいいのか悩むかもしれません。

実は、これに対する万能の答えはありません。なぜなら、「成果」の定義は、所属するチームや会社、プロジェクトによって大きく異なるからです。

ただしアプローチとしては一般的には以下のようなものは有効だと思います。

  1. チームの目標を理解する: あなたの所属するチームが何を目指しているのかを理解しましょう。
  2. 期待値を明確にする: 上司や先輩が、あなたに何を期待しているのかを明確にしましょう。曖昧なまま作業を進めると、思わぬ方向にずれてしまうことがあります。
  3. 技術力を高める: 基本的な技術力は必須です。日々の業務外でも学習を続けましょう。
  4. コミュニケーション能力を磨く: 技術力だけでなく、自分の考えを伝える力(特に最近はテキストとしてアウトプットする力)、他者の意見を理解する力も重要です。
  5. 問題解決能力を養う: 与えられた課題に対して、自分なりの切り口で解決策を考える力を身につけましょう。

これらのアプローチはあくまで例えなので参考までに。

ちなみにこういう背景から、会社/組織/事業について学ぶことは重要です。よくお偉いさま方のお話や事業に関する全体共有を校長先生のお話と同じだと思って聞かない人がいますが、完全に間違っています。それはゲームのルールを読まずに攻略を始めるようなものです。目標を理解するにも期待値を理解するにも会社員として働いている限り、会社/組織/事業について学ぶことは重要です。

キャリア設計は信頼獲得の先にある

信頼がある程度積み上がってきたとき、初めて「キャリア設計」という話が現実味を帯びてきます。

キャリア設計とは、自分の職業人生をどのように歩んでいくかを考えることです。専門性を極めるのか、マネジメントに進むのか、起業を目指すのか。様々な選択肢がありますが、それを考えるためには、まず自分の強みと実績が必要です。

これまで積み上げてきた成果を振り返ってみると、そこには何らかのパターンがあるはずです。例えば、

  • フロントエンドの開発で特に成果を挙げてきた
  • バックエンドのパフォーマンス改善に特に貢献してきた
  • 技術的負債の解消に特に力を発揮してきた
  • チーム間のコミュニケーション改善に特に貢献してきた

これらの「特に」取り組んできたことがあなたのキャリアの軸になるはずです。転職時に作成する職務経歴書にはこれらの特に成果を出してきたことを書くことになるでしょう。

サラリーマン

サラリーマンというのは成果を積み上げて信頼を獲得することの繰り返しの中で生きていくものです。

これは、新卒時代だけでなく、サラリーマンとして生きていくならキャリアのどの段階でも変わらない真理です。転職先でも、新しいプロジェクトでも、常に最初は信頼ゼロからのスタートです。そして、成果を積み重ねることで信頼を獲得し、より大きな仕事、より面白い仕事へとステップアップしていきます。

「大した仕事をさせてもらえなくてつまらない」と感じているなら、それは何らかの成果が足りず、信頼を獲得できていない可能性があります。自分に期待されていることを再確認し、着実に成果を出していくことが大切だと思います(チームや上司ガチャに失敗することももちろんありますが...)。

おわりに

最初の数年間は、思ったような仕事ができず、歯がゆい思いをすることもあるでしょう。でも、その時期を耐え忍ぶのではなく、与えられた仕事に真摯に向き合い、一つひとつ成果を積み上げることを意識してみてください。

小さな成果の積み重ねが、やがて大きな信頼となり、あなたの望むキャリアへの道を開いていくはずです。

そして何より、日々の小さな成功体験を大切にしてください。一つのバグを修正できた喜び、チームメイトから感謝された瞬間、自分のコードがプロダクションに反映された達成感。これらの積み重ねが、エンジニアとしての誇りと自信を育んでいくと思います。

長い職業人生の中で、新卒時代はほんの入り口に過ぎません。焦らず、着実に、そして何より楽しみながら、エンジニアとしての道を歩んでいってください。

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