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【初心者向け】Linux学習のロードマップ!結局何を覚えればいいの?

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「サーバーエンジニアになりたい」「Web開発を始めたい」そう思ったとき、多くの人が出会うのがLinuxです。
しかし、いざ勉強を始めようとすると、黒い画面(CUI)に無数のコマンド、謎のディレクトリ構造…と、あまりの情報量に「一体どこから手をつければいいんだ…」と途方に暮れてしまうかもしれません。
この記事では、そんなLinux学習の初心者が**「まず何を覚えるべきか」**という疑問に答え、効率的にスキルを習得するための学習ロードマップを具体的にお伝えします。
なぜ今、Linuxを学ぶべきなのか?
本題に入る前に、なぜLinuxが重要なのかを再確認しましょう。
圧倒的なシェア: 世界中のWebサーバーのほとんどはLinuxで動いています。
クラウド時代の必須スキル: AWS, Google Cloud, Azureといったクラウドサービスの根幹もLinuxです。
技術の土台: Dockerコンテナ、IoTデバイス、スーパーコンピュータなど、現代のIT技術の多くがLinuxをベースにしています。
つまり、Linuxを使いこなせることは、現代のエンジニアにとって強力な武器であり、市場価値を大きく高めるスキルなのです。
SLinuxの世界は広大ですが、すべてを一度に覚える必要はありません。まずは以下の「3つの柱」をしっかりと理解することから始めましょう。この土台があれば、応用的な知識もスムーズに身につけることができます。

  1. CUI(コマンドライン)操作に慣れること
    WindowsやMacのようなグラフィカルな画面(GUI)とは違い、Linuxサーバーの操作は基本的にキーボードでコマンドを打ち込むCUI(キャラクターユーザーインターフェース)で行います。
    なぜCUIが重要なのか?
    サーバー環境: 多くのサーバーにはGUIがインストールされておらず、CUIでの操作が必須です。
    効率と自動化: 一連の操作をスクリプトとして自動化したり、GUIより遥かに高速に作業できたりします。
    リモート操作: 遠隔地のサーバーを操作する際は、CUI(SSH接続)が基本です。
    最初は戸惑うかもしれませんが、「慣れ」が解決してくれます。 自転車の練習と同じで、転びながらでも使い続けるうちに、いつの間にか体の一部のように操れるようになります。
  2. ファイルシステムの構造を理解すること
    Linuxには**「すべてはファイルである」**という哲学があります。プログラムも、デバイスも、設定も、すべてがファイルとして扱われます。そして、それらのファイルがどのようなルールで配置されているかを知ることが非常に重要です。
    この配置ルールは FHS (Filesystem Hierarchy Standard) と呼ばれ、主要なディレクトリの役割が決まっています。
    ディレクトリ 役割(ざっくりとしたイメージ)
    / ルートディレクトリ。すべてのディレクトリの最上位。
    /bin 基本的なコマンド(プログラム)が置かれている場所。
    /etc システムの設定ファイルが置かれている場所。最重要。
    /home 一般ユーザーのホームディレクトリ。個人のファイルを置く場所。
    /var ログファイルなど、変化するデータが置かれる場所。
    /usr 後からインストールしたアプリケーションなどが置かれる場所。
    /tmp 一時的なファイルを置く場所。
    「設定ファイルは/etcにあるな」「ログを見たいから/var/logを探そう」というように、どこに何があるかの見当がつけられるようになると、トラブルシューティングや設定変更が格段に楽になります。
  3. パーミッション(権限)の概念を把握すること
    Linuxは複数のユーザーが同時に利用することを前提としたOSです。そのため、「誰がどのファイルに何をして良いか」を管理する**パーミッション(権限)**という仕組みが非常に重要です。
    ls -lコマンドを実行すると、以下のような表示が出ます。
    -rwxr-xr-- 1 user group 4096 1月 1 10:00 sample.txt
    Use code with caution.
    この先頭の-rwxr-xr--がパーミッションを表しています。
    対象: 「所有者(user)」「グループ(group)」「その他(others)」の3つに分かれています。
    権限: それぞれの対象に対して、「読み取り(r)」「書き込み(w)」「実行(x)」の3種類の権限を設定できます。
    「このファイルは所有者しか書き込めないようにしよう」「このスクリプトは全員が実行できるようにしよう」といった制御をchmodコマンドで行います。「Permission denied」というエラーが出たときは、まずこのパーミッションを疑うのが定石です。
    【ステップ別】まず覚えるべき必須コマンド20選
    理論を学んだら、次は実践です。以下のコマンドを実際に手を動かして試してみましょう。
    レベル1:基本のキ(これがないと何も始まらない)
    ls: ファイルやディレクトリの一覧を表示する (ls -laで隠しファイルや詳細情報も表示)
    cd: ディレクトリを移動する (cd /etc)
    pwd: 今いるディレクトリの場所を表示する
    cp: ファイルやディレクトリをコピーする (cp file1 file2)
    mv: ファイルやディレクトリを移動または名前変更する (mv oldname newname)
    rm: ファイルを削除する (rm file1) ※ディレクトリは rm -r
    mkdir: ディレクトリを作成する (mkdir newdir)
    cat: ファイルの中身をすべて表示する
    less: ファイルの中身をページ単位で表示する(qで終了)
    man: コマンドのマニュアルを表示する (man ls) ←困ったらまずコレ!
    レベル2:作業効率アップ(少し慣れてきたら)
    grep: ファイル内から特定の文字列を検索する (grep "error" /var/log/messages)
    find: ファイルやディレクトリを検索する (find / -name "httpd.conf")
    ps: 実行中のプロセスを表示する (ps aux)
    kill: プロセスを終了させる
    df: ディスクの空き容量を表示する (df -h で見やすく)
    du: ディレクトリのディスク使用量を表示する (du -sh /home で合計サイズを)
    sudo: 管理者権限でコマンドを実行する
    レベル3:ネットワークとリモート操作
    ip addr (or ifconfig): IPアドレスを確認する
    ping: 相手サーバーとのネットワーク接続を確認する (ping google.com)
    ssh: リモートサーバーに安全に接続する (ssh user@hostname)
    コマンド操作を加速させるテクニック
    コマンドを単体で覚えるだけでなく、以下のテクニックを組み合わせることで、CUI操作は真価を発揮します。
    パイプ (|): あるコマンドの実行結果を、次のコマンドの入力として渡します。
    例: ps aux | grep nginx (実行中のプロセス一覧からnginxという文字が含まれる行だけを表示)
    リダイレクション (> , >>): コマンドの実行結果をファイルに書き出します。
    例: ls -l > file_list.txt (ls -lの結果をfile_list.txtに上書き保存)
    Tabキーによる補完: コマンド名やファイル名を途中まで入力してTabキーを押すと、候補を補完してくれます。入力ミスが劇的に減り、スピードも上がります。
    ヒストリ (history, Ctrl+R): 過去に実行したコマンドを呼び出して再利用できます。
    学習を成功させるための心構え
    目的を持つ: 「Webサーバーを構築する」「Dockerで開発環境を作る」など、具体的な目標を立てるとモチベーションが維持しやすくなります。
    とにかく手を動かす: 本を読むだけでなく、実際にコマンドを打ってみることが一番の近道です。VirtualBoxやDockerで仮想環境を作ったり、クラウドの無料枠を使ったりして、壊してもいい環境でどんどん試しましょう。
    エラーを恐れない: エラーメッセージは敵ではなく、解決への最大のヒントです。英語でも恐れずに読み、メッセージをコピーして検索する癖をつけましょう。
    完璧を目指さない: Linuxは非常に奥が深い世界です。すべてを暗記しようとせず、「必要なときに調べて使える能力」を養うことを意識してください。
    まとめ
    Linux学習の第一歩は、以下の3つの柱を意識することから始まります。
    CUI操作に慣れる
    ファイルシステムの構造を理解する
    パーミッションの概念を把握する
    そして、まずは基本的なコマンドを実際に使いながら、その役割と使い方を体で覚えていきましょう。コマンドをパイプやリダイレクションで組み合わせられるようになると、Linuxの面白さとパワフルさを実感できるはずです。
    焦らず、楽しみながら、一歩ずつ進んでいきましょう。あなたのエンジニアとしての冒険は、この黒い画面から始まります!
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